2010.05.12(水)
カンザスシティ:2010年5月1日:佐藤琢磨選手にとって初のオーバルレースの舞台となったカンザス・スピードウェイでは惜しくも6位完走を逃す結果に終わりました。残り14周となったところで二人のドライバーから壁に押し上げられるような体勢に陥り接触を避けることが出来なかった佐藤選手は、無念にも別の新人ドライバーによるミスの影響を受けた形となってしまいましたが、充実した走りを見せた佐藤選手のオーバルレースでの活躍の様子をレポートとしてお届けします。
カンザス・スピードウェイにて開催された佐藤琢磨にとって初のオーバルレース戦は、スリル満点の戦いの中6位でのフィニッシュが期待されたが、14周を残したところで同じ日本人ドライバー武藤英紀との衝突によりリタイアという残念な結果に終わった。
KVレーシングテクノロジーチームからロータスのダララ・ホンダで参戦した元F1ドライバーの佐藤は、オーバル経験が浅いにも関わらず、経験豊かなオーバルのプロである対戦相手たちと互角に張り合い、 時には追い越しながら スムーズな走りを見せていた。
カンザス・スピードウェイのトライオーバルコースは平均ラップスピードが時速210マイルを上回り、佐藤がこれまで走り慣れていたものとは全く違うタイプの戦いの場である。
4月28日の水曜日に他のIndyCarの新人ドライバー達と共にルーキーテストを終えた佐藤は、「今回は自分にとって初めてのオーバル走行となりましたが、100周以上のラップはIndyCarのオーバルコース上での感触とマシンの設定オプションを考慮する上で、大変貴重な経験となりました。自分で実際に走ってみて、安定した走行が出来るという手応えを得たように感じます。」とテストの結果に満足した様子を見せていた。
悪天候により予定が遅れ、いよいよ開始された練習走行では、「他の車と一緒に走るオーバルコースはまたすごく違った感じがしましたね。多数の車の間では他の車からの乱気流による影響があり、簡単にコントロールを失ってしまいます。なのでマシンを安定して押し進めるためには他の車と並ぶのを避けて走る必要があります。レース本番前にこのことを学べて出来て本当に良かったと思いました。」と新たな発見について語った。
初オーバルの予選で4周連続13位のタイムをマークした佐藤は、別の選手二人に無効の判定が下されたため11番手へと昇格。KVレーシングチームから参戦した3人のドライバーのうちの二人は少なくとも1シーズンのオーバル経験があったが、佐藤はこの中でも二人を上回るタイムを計測した。佐藤は「予選で良い結果が出せてとても嬉しいです。」「練習走行ではレース環境について懸念していたところがありましたが、予選ではマシンも快調な走りを見せてくれたので良かったです。」と話した。
レースが開始するとオーバル初心者のドライバーは一際目立ち、コーション後に順位後退した佐藤は、「勢いを失くしてしまうとすぐに順位が大きく落ちてしまうものですね!しかし一旦落ち着いた後は着々と戦いを続けることが出来ました。」と語った。
実質、本戦初のコーションの際に佐藤は10位でリードラップにいた。しかしピットライン出口で両サイドをダン・ウェルドンとミルカ・デュノのマシンにはさまれる格好になった佐藤は、その際デュノのマシンに接触してしまったため予想外の再ピットインを余儀なくされる。佐藤は「ダンが急に僕の横に来たと思った矢先にミルカも反対サイドから接近してきたので行き場が無くなってしまいました。この衝突があったせいで再ピットインを余儀なくされ順位を落としてしまうことになったので、非常に残念です。」と話した。
その後、コースへと復帰した佐藤はトップ5でのフィニッシュを目指しウィル・パワー、ビクター・メイラ、ダニカ・パトリック、ライアン・ハンター=レイといった有名ドライバーを追い越しエリオ・カストロネベスと並ぶ。「少しずつじっくりと順位を上げながら走りました。素晴らしいドライバー達と肩を並べてのレースはとても楽しいものでした。抜けず抜かれずのサイド・バイ・サイドで3周くらい続くんですよ。とてもエキサイティングなレースでした。」と佐藤はコメントする。
無線を通して佐藤に情報を送るスポッターは、以前佐藤がF3選手権優勝を果たしていた頃にイギリスのレースで活躍し、その後インディーカー・シリーズでレギュラーとして数年にわたり参戦したロジャー・安川だ。佐藤は安川について「ロジャーとはとてもうまくいっていますよ。彼はIndyCarでの経験も豊富なので彼と一緒に仕事が出来るのはとても素晴らしいことだと思います。」と語る。
本戦最後となるはずであったコーションの後にレースは不運な形で幕を閉じた。佐藤は「ピットストップを終えた武藤選手と僕は、先行車の大きな集団を前に5位・6位で走っていました。リスタートの時点では僕たちはサイド・バイ・サイドの並列状態で、僕の目からすると武藤選手が僕の行く手を阻む格好となり二人とも行き場を失ったように見えましたが、後から聞いたところによると、武藤選手はその際一緒に走っていたシモナ・デ・シルベストロ選手のマシンに押されていたため、止むを得なく僕の方に迫ってくることになったと知りました。大変残念な結果になってしまったと思っています。」と話している。
数日後に予定されているケンタッキースピードウェイでの合同テスト、そしてもてぎでのレースに先立つ日本での宣伝活動の後は、いよいよ期待が高まる次回のレース、インディアナポリス500にて佐藤の活躍を見ることが出来る。佐藤は「オーバルコースを良く理解するという意味では本当に価値のある経験ができました。インディーにはカンザスとはまた全然違った特徴があると思いますが、今回のレースでの勢いをキープして臨む次の新しいチャレンジをとても楽しみにしています。」と語っている。
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