2010.05.30(日)
ピットストップでの問題により惜しくもトップ10入りを逃す
2010年5月30日:世界最大のモータースポーツレースとして知られるIndy500は、一日で開催されるスポーツイベントとしても世界一規模の大きなイベントで、このレースのためにアメリカ・ブラジル・日本・カナダ・イギリス・スコットランド・オーストラリア・ニュージーランド・ベネズエラ・コロンビア・ベルギー・オランダ・南米・スイスなど、世界中から最速ドライバー達がインディアナポリスに集う。歴史的にも有名なIndy500レースは、レースファン、優秀なレーサー、そしてそのクルーメンバーたちを過去100年に亘り魅了してきた。1911年には、優勝者のドライバーの最速スピードは74マイル(時速119.1キロ)で500マイル(約804.7Km)のレースに7時間近くもかかっていたこのレースだが、今日ではインディカーのスピードは234マイル(時速376.58キロ)まで達し、レースにかかる時間もおよそ3時間ほどになった。
佐藤は、2.5マイル(約4.02 km)ほど更に広いインディ・オーバルコースの内側にレイアウトされているロードコースでミハエル・シューマッハ選手が優勝を飾った2004年のUnited States Grand Prixで表彰台獲得(第三位)を果たした元F1レーサーとして再びインディアナポリスへと戻ってきた。
佐藤のこれまでのオーバルコースの経験といえば、5位で走っていた佐藤に別の車が接触するまで、初のオーバルレースでの10位入りが間違いないと見られていたカンザス・シティでのインディーカーレースのみである。
5月上旬にインディアナポリスへと到着した佐藤は、彼のレースキャリア上で最も大きなコースでのレースに向けての準備を開始した。1.620ポンド(約0.454kg)という極めて軽量な、ダララ・シャーシに搭載された650hp HONDAのエンジンから最大限にスピードを引き出すためのエンジニア達による最終整備も完了だ。全てのIndyCarは基本的な仕様がどれも同じである為、最後の段階でエンジニア達が施す調整・整備が非常に重要となるのである。
予選賞金を狙って40のマシンがエントリーする予選は、誰もが望む33のスターティングポジションを巡っての大事な戦いだ。また、10℃の温度差により、210マイル(時速337キロ)でコーナーを走るときのタイヤの感触が全く異なってくるため、予選当日までのコースのコンディションの変化も大きな要素となる。
予選前の練習中に210マイル(時速337キロ)のスピードで外壁に衝突した佐藤は病院に搬送されレントゲン検査を受けることとなり、佐藤のマシンは翌朝までには新しいトランスミッションとエンジンが搭載され後方部分もすっかり修復された。クラッシュにより大きな打撃を受けたにも関わらず、エンジニア達による素晴らしいマシンの修復ぶりにより、佐藤は無事31位で予選を通過することができた。
この週は本番のレースに向けて休養・回復、そして更に練習を重ねるために休みをとった佐藤だったが、金曜日にはマネージャーのマシュー・ウィンターと共に、Indy500やKVレーシングのサポート施設の舞台裏、そしてカーナンバー5番のロータスカーや佐藤のレースギアなどを日本から到着したファンクラブのメンバー達に見せることが出来た。
レース当日がやってくる頃には佐藤の中でIndy500の規模の大きさの認識とトップクラスのレースプログラムとしてのIZOD IndyCarシリーズに対する更なる敬意が芽生えていた。13時10分にはあの有名な「Ladies and Gentlemen, Start Your Engines」の掛け声と共に、佐藤のキャリアにとってエキサイティングな新チャプターの幕が切って落とされた。
31位でスタートした佐藤は一旦33位へとランクダウンしたが、コースとレースの感覚を徐々に掴んでいく。前にも挙げているが、このレースは佐藤にとってはまだ2度目のオーバルレースであり、スピードも巨大なオーバルコースではF1やF3での最速スピードを更に上回る230マイル(約370km)に達する。また、外気の温度が35℃を記録しトラックの温度が54℃に達したコースはとても滑りやすく不安定な状態だ。レース前半には、別のドライバーの車が壁に衝突した後ものすごいスピードでコースを横切るハプニングもあったが、コントロールを失って疾走するこの車を鋭い反射神経でかわすことの出来た佐藤はクラッシュを逃れることができた。レースでは20台の車を追い抜いた佐藤だったが、2回の追加ピットストップを余儀なくされ、ピットクルーの事情により15秒のペナルティーが課されることとなった。
実に素晴らしい走りを披露してくれた佐藤は20位でのフィニッシュを果たし、これまでに経験したこともないような速いスピードで、オーバルレースはまだ2回目であったにもかかわらず、何と$300,000の賞金を手にすることとなった。今回のレースについて佐藤は「今日は僕にとって本当に良い経験になりました。」「途中ではトップ10に近いところまで行きましたが、ピットストップで問題があったために15秒のペナルティーを受け、結局順位を巻き上げることが出来ないままのフィニッシュとなってしまいました。長時間のレースの中で沢山の障害に遭遇しましたが、レースを完走し多くのことを学ぶことが出来たので嬉しく思います。Indy500は本当に華々しいイベントです。ロータス、KVレーシングのチームの皆さんと今月は皆準備に頑張ってきましたが、今日のレースでは素晴らしい体験をすることが出来ました。」と話している。
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